NMRと高分子配向

京都大学の元教授・堀井文敬博士の論文中で

測定方法 グループ
回転同期MAS(ROSMAS)法 Spiessら
DECODER Spiessら

を紹介しています。これらについて今後このページに加筆していきます。

サイドスピニングバンド(ssb)

論文で、固体NMRの図を見たときに、ssbという文字を見かけることがあると思います。
これは、固体NMRスペクトル中に出てくるゴーストピーク(原子や分子に由来しないピーク)です。

しかし、配向性を語る上で重要になるので、一旦説明します。

ssbは、化学シフトテンソル、双極子結合テンソル、間接的なスピン-スピン(J)結合の符号の大きさと相対的な配向に敏感です。つまり、これらの相互作用が変化した場合にssbも同時に何らかの変化をします(一般的には、強度の変化だけですが、測定方法やサンプルの電子状態によっては、ブロードニングや対称性などピーク形状へ影響も与えることもあります)。

ssbは強いピークのサテライトピークとして、回転速度と同じ距離(Hz)に現れます。
つまり、5000 Hzで回転しているとき、ピーク両端5000 Hzの位置に小さいピークが現れます。

スピニングバンドについて詳しく書こうと思ったのですが、難しかったので、今回は一般的な事柄だけ紹介します。

ppm×NMR装置の磁石の強さ (Hz)/106
でHzへ換算する計算ができます。一般的には、500 MHzくらいで、固体NMRを測定するのは13Cが主体だと思います。この500MHzというのはプロトンに対する周波数ですので、カーボンの場合には約1/4の125MHz程度とあります。また、一般的なカーボン測定は0−200 ppm程度の範囲で測定します。
200 (ppm) × 125×106 Hz/106
で、25000 Hzとなります。回転速度をこれ以上に設定するとスピニングバンドは出てこないはずです。

スピニングバンドの消し方

サイドスピニングバンドの対処方法として、25000 Hzという高速なMAS速度を設定するか、TOSSという測定をします。

他の配向測定

さらに、この他最近では、2H NMRを測定しフィッティング

サンプルの角度を変更して配向測定を行う、variable angle-spinning (可変角度、VAS) NMR

単結晶NMR

参考論文

堀井文敬. “多次元固体 NMR からみた高分子の配向状態.” 高分子 45.12 (1996): 856-856.

スピニングバンドについて

Wu, Gang, et al. “Spinning Sidebands in Slow-Magic-Angle-Spinning NMR Spectra Arising from TightlyJ-Coupled Spin Pairs.” Journal of Magnetic Resonance 124.2 (1997): 366-371.