Slow-Magic-Angle-Spinning DECODER NMRを用いた分子配向

Slow-Magic-Angle-Spinning DECODER NMRを用いた分子配向

どんな材料を使うのか

プロセス履歴が異なるポリ(4-オキシ安息香酸-co-1,4-フェニレンイソフタレート)の3つのサンプルを用いています。
この成形加工のプロセスの履歴は、物性に非常に大きな影響を与えます。
特に、熱については結晶性が大きくことなるために、高分子材料を使用した学会発表では、熱履歴についてたくさんの質問がでます。

配向解析はなぜ必要なのか

まず、繊維材料においては、配向性が物性に大きな影響を与えます。
プロセス履歴と配向性の相関に関する研究は非常に興味深いものになります。

どうやって配向を確かめるのか

NMRを用いた配向測定しています。

Slow-Magic-Angle-Spinning DECODER NMRという測定方法で配向を調べます。

配向または部分的に配向した物質の配向分布は、複屈折、広角X線散乱(WAXS)、核磁気共鳴(NMR)測定など多くの方法で決定されてきました。
(ラマン、IR、WAXDなど他にもいろいろと配向を確かめる方法はあります。)

特に、分子の情報をスペクトルから得られるだけではなく、配向性が向上した際にも正確な情報(高次の配向度パラメータまで計算可能)を与えるという点で、NMRは有用な測定法です。

固体NMRでほとんどの研究では、CP/MASを用いた研究です。このMASについて見てみると、54.7°に傾けて高速に回すと、相互作用を消滅させたり、平均化することができるので、ピークがシャープになります。

しかし、MASのスピードを遅くしたり、0にすることで、相互作用が復活します。ここで復活した相互作用に化学テンソルに関する情報があり、この化学テンソルを得ることで、配向性を調べることができます。

そのため、固体NMRで配向性を調べるときには、MASのスピードを遅くしたり、0にしたり、静磁場と同じ角度と平行に設置したりと、普通の測定と比べると若干異なる設定が必要となります。

複屈折測定

吸収分光法のように特定の化学単位の配向分布の観点から解釈することができますが、これらの方法では配向分布関数の最初の2つのモーメントのみを推定することができます。比較的低い配向度の場合を除いて、これでは配向分布関数を記述するには不十分です。

WAXS測定

ポリマーの分子配向を測定するために広く用いられてきましたが、主に結晶相の配向を記述する場合に有用です。これまでの試みでは、実験的なファイバーパターンの中で選択された反射についての強度の方位方向の広がりを評価することで、液晶ポリマーの配向性を定量化してきました。

強度の方位角方向の広がりが配向性の乱れと構造の乱れの両方の畳み込みを反映しているという事実によって複雑になっています; 高い配向度では、これらの2つの寄与による強度の広がりは同等である可能性があり、適切に分離しない限り、誤った結果につながります。

DECODER

巨視的に試料の向きを変えた前後で測定された共鳴周波数を相関させることで、磁場に対する化学シフトテンソルの配向分布を決定することができます。

Figure 1

図(原著論文

角度を変えて測定し、得られたスペクトルの変化を図のように操作を行うことで、実際の磁場に対しての分子レベルの角度を計算することができます。

この回転行列に操作については、興味がある人はオイラー角、固定角、回転行列などのキーワードで調べて見てください。

どんな論文か

プロセス履歴が異なるポリ(4-オキシ安息香酸-co-1,4-フェニレンイソフタレート)の3つのサンプルの分子レベルの配向性を測定しました。

NMRの結果

配向角度(45°と180°)に設定してとスピンレート(100 Hz、これはかなり遅いです)を使用しています。
等高線が濃いところが、配向度の確率を表しています。等高線が濃くなれば、配向度が上がったことを示しています。

ここで得られた配向度パラメータから配向度分布関数を求め、フィッティングすると以下のような図が得られます。

図(原著論文)a)粉末、(b)溶融押出しモノフィラメント、(c)溶融紡糸繊維のサンプル。

プロセス履歴が異なると、配向度が異なることがわかると思います。

参照論文

Liao, M-Y., and G. C. Rutledge. “Molecular orientation in poly (4-oxybenzoate-co-1, 4-phenylene isophthalate) by slow-magic-angle-spinning DECODER NMR.” Macromolecules 30.24 (1997): 7546-7553. Here

 

 

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