デンプンと固体NMR

デンプンと固体NMR

生体高分子とお砂糖の密接な関係

グルコースという名前はギリシャ語の甘いという言葉に由来します。
生体高分子として広く研究されているデンプンやセルロースはグルコースがたくさん繋がった多糖です。

デンプンとは?

澱粉は植物の中で最も豊富なエネルギー貯蔵分子(必要なときに熱にするために、体に貯めておくという意味で、エネルギー貯蔵分子と呼びます)であり、人間の食事には欠かせないものです。
英語ではstarch(スターチ)と呼ばれており、商標として、コーンスターチなど我々も身近に耳にする食材です。

デンプンは、アミロペクチンとアミロースによって構成されています。アミロペクチンは枝分かれが多く、分子量が大きいです。一方で、アミロースは直鎖状の分子です。これらの分子が共存し、デンプンの性質を発現させています。

今回紹介する論文について

13C標識したデンプンの2次元(2D)高分解能固体核磁気共鳴(SS-NMR)を用いて、2つの結晶形態と非晶質状態のデンプンとその構成成分(アミロペクチンとアミロース)の完全かつ明確な同定を行った報告です。

このグルコースポリマーは、異なる形態(A型およびB型)の非晶質および結晶性ドメインで構成されています。

A型はグルカンの二重螺旋らせん構造が細密に充填し、単斜晶系の結晶構造をつくります。
B型はグルカンの二重螺旋構造が空隙を作って充填し、六方晶系の結晶構造を形成しています。

*また、分類的にはC型(A型とB型のデンプンの混合物)があり、今回はこのC型にあたる論文です。
A型を主とするのはトウモロコシのデンプン、B型を主とするのは馬鈴薯澱粉があります。

生体高分子では分子量も揃っており、一次構造が同じなのに、結晶多形が多く存在することも多数報告されています。
セルロースにおいては、セルロースI(一般的に、天然セルロース)、II(一般的に、再生セルロース)など、たくさんの種類があります。

Ijms 19 03817 g001

図(原著論文

どんなサンプル?

13C標識(99%)重炭酸ナトリウムを用いてラベル化したデンプンを使用しています。
だからこそ、二次元INADEQUATEを使用できますね。

二次元INADEQUATE

二次元INADEQUATEは、結合連結性と解像度を提供する優れた測定方法です。つまりは、炭素ー炭素の並びを確認できる測定方法です。面白いけれど、感度が低いので、固体NMRではなかなか使用する場面がありません。
この実験は特にセルロースの研究に有用です。さらに、二重量子(DQ)次元は優れた化学シフト分散を提供することから、この実験はインタクト系にも適用されています。ここでは、INADEQUATEパルスシーケンスを、プロトンから炭素への偏光移動スキーム、例えばクロスポラリゼーション(CP)や核オーバーハウザー効果(NOE)と組み合わせて使用しました。

この図から、新しく見つかったことして、分解能が向上したことで、これまで明確に解明されていなかった炭素2、3、5を含むすべての炭素を区別するのに十分な結果が得られました。

それぞれの炭素ー炭素のつながりを見れているだけではなく、還元末端と非還元末端までしっかりと見えたというのがこの論文のミソです(ちなみに、セルロースなどの糖鎖において、末端を還元末端と非還元末端と両端をそれぞれ異なった呼び方します)。

Ijms 19 03817 g003

図(原著論文

末端基C4について

非晶質デンプンと非還元性デンプンの末端基について、完全に新しいスピン系を記述した。13C SS-NMRスペクトルはまた、デンプンの結晶性、乱れ、ダイナミクスの評価を可能にし、鎖長とアミロース/アミロペクチン含量の評価にも使用することができました。

末端を見れると分子量やその分布がわかるというのが一番の特徴的なポイントです。
次に、末端を化学修飾すると、極性が出たり、非極性になったり、活性点になってりと、化学的に重要なので、どれくらい末端を修飾できたのか?この量を決めることで、反応性を評価したいります。

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