微生物産生ポリマーブラシは細菌を寄せ付けない?

微生物産生ポリマーブラシは細菌を寄せ付けない?

ヒアルロン酸合成酵素を用いたポリマーブラシによって、細菌を撃退する生体適合性材料が発現しました。

ポリマーブラシとは、化学的に合成されるスパゲッティのような分子鎖からなるナノスケールのポリマーで覆われた表面です。 今回、ジョージア工科大学の研究チームがブラシを改良する手法を見出した(標準のブラシよりも2桁厚く、最大20ミクロンまで高さ調整可能)。

「他の実験(報告のため)で酵素の表面を観察していましたが、あまりにも多くの(ブラシの)密度でした。それは私たちが知る限り、最も太くて長いポリマーブラシでした。 」ジョージア工科大学の物理学部の准教授であるジェニファー・カーティスは言いました。 「合成したポリマーブラシが非常に大きかったので、原子間力顕微鏡のような一般的なポリマーブラシに必要な分析ではなく、光学顕微鏡で実際に見ることができました。」

これらの経緯から、本来の目的とは別にこのポリマーブラシに注目しました。
このポリマーブラシはバイオフィルム、バクテリアのコロニーが広がりを妨ぎます。

Biofilm bulwark

「人間の免疫システムはバイオフィルムと密接な関わりを持ちます。バイオフィルムを形成することで、抗生物質がうまく作用しないなどの弊害があります。水ろ過ではバイオフィルムが粘り強く付着します(家でも水場を掃除しているときヌルヌルしますよね。)。表面にヒアルロン酸のブラシがあるとバイオフィルムは付着しません。」

ポリマーブラシの毛にあたる化合物、ヒアルロン酸は化粧品において高い保湿性能を有することから多くの人に知られています。

ブラシでヒアルロン酸の毛を作る酵素はヒアルロン酸合成酵素であり、簡単に非常に長い毛を押し出すことにより、より複雑な化学合成を回避します。また、酵素は毛が折れたときに置き換える(自己再生する)ことができます。これは、化学的に合成されたブラシではできないことです。

化学的にも、生物的にも説明するのが難しい合成でした。

チームは、2019年12月にジャーナルNature Communicationsで新しい研究「自己再生巨大ヒアルロン酸ポリマーブラシ」を発表しました。この研究は、国立科学財団によって資金提供されました。

Engineered E. coli

細菌(Streptococcus equisimilis)のヒアルロン酸合成酵素遺伝子を大腸菌に挿入することにより、酵素を過剰に生産するように細菌を設計し、酵素を収穫しました。

「バクテリアを粉砕して、(生きていない)ねばねばした断片の束にした後、膜を表面に接着させ、シンターゼがブラシを押し出しました。」

酵素はオンとオフを切り替えることができ、ブラシの周りの溶液の塩濃度またはpHを調整すると、毛がまっすぐな形に伸びたり、収縮した形に丸まったりします。抗菌剤などの機能性添加剤をブラシに埋め込むことができます。

カテーテルのようなものは、いつの日かバクテリアのない状態を維持するためにブラシでコーティングされる可能性があります。治癒過程の鍵となるいくつかの人間の細胞は、実際に毛を介して沈むことができます。

「治癒しない慢性創傷の場合、この技術が、新しい細胞の増殖を促進するが細菌を寄せ付けない包帯を設計できる可能性があります。」

参考文献
Wenbin Wei et al, Self-regenerating giant hyaluronan polymer brushes, Nature Communications (2019).
DOI: 10.1038/s41467-019-13440-7

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