高分子と変形

高分子と変形

弾性変形・流動の応力に関するパラメータ

特徴付けるパラメータ

弾性変形:応力σ  ひずみ \gamma
流動  :応力σひずみ速度 \dot{\gamma}

(線形領域では)σ = Eγ
σ =ηv =η\dot{\gamma}(hはsの関数ではない)

高分子は非ニュートン流体の宝庫 σ =η(σ )\dot{\gamma}

チキソトロピー:鎖の配向や絡み合いの減少、ゾル化、etc.
ダイラタンシー:絡み合いの増加、ゲル化、etc.

体積弾性とずり弾性/剪断弾性

高分子の多くの理論形成はゴムからなっています。
同時に、プラスチックの理論形成の多くはポリオレフィンからなっています。

これは、もちろん経済的なインパクトに由来するのが大きいのと、構造が単純ということにも由来しています。

そのため、これらを使って説明していこうと思います。
はじめに用語説明のために微小変形した際の変形を見ていきましょう。

まず、気体と液体は固有の形を持っていないということを再認識してください。
金属、ゴムは固有の形を持っています。そして、外力によって変形させても、力を取り除くと元の形に戻ります。

物体に加えた力と変形量が比例の関係をもつ理想な弾性体をフック弾性体と言います。
等方的なフック弾性体は、弾性率K、Gで特徴付けられます。

ふたつの弾性率KとGについて説明します。

体積弾性率κ:物体の体積を変えるのに必要な力の大きさです。弾性体だけではなく流体でも有限の値をとります。

K=-V \frac{\partial P}{\partial V}

ずり(剪断)弾性率G:弾性体にずりひずみγ(がんま)を加えるために必要な剪断応力をσ(しぐま)とすると

\sigma = G \gamma

ヤング率とポアソン比

材料を一軸伸張した際の、歪みに対する応力の初期勾配を Young率(㱨 弾性率)と呼び、Eで表します。

E = \sigma \varepsilon

\left.\begin{matrix} E=\frac{\partial \sigma _{true}}{\partial \lambda} \end{matrix}\right|_{\lambda =1} \left.\begin{matrix} =\frac{\partial \sigma_{nom}}{\partial \lambda } \end{matrix}\right|_{\lambda =1} =3\nu k_{B}T=\frac{\rho RT}{M_{net}}=3G
ν : 単位体積あたりの架橋点間の 高分子鎖の総数

単位体積あたりの架橋点間の高分子鎖の総数は、 架橋点の数に比例します。

ポアソン比は

V = - \frac{\varepsilon_{z}}{\varepsilon_{x}}

となります。

この二つは、変形に直接関わる値の比なので、後ほど図を入れれば一発でわかります。
もう少々お待ちください。

ヤング率EとK,Gとの関係を以下に示します。

E=\frac{9KG}{3K+G}

ゴムにおいては、

K>>G

であるので、

E=\frac{3G}{1+G/K}

また、ポアソン比ν(にゅー)とK,Gとの関係を以下に示します。

\nu = \frac{3K-2G}{2(3K+G))}

となります。

ν≈0.5

です。

GがKに比べて十分に小さい物質のことを非圧縮性物質といいます。
例として、ゴム、ゲル、水などがあります。ちなみに水のGは0です。

もっと変形させてみると

これまで変形開始数%程度の話をしてきました。
一般的な引張試験から得られるヤング率に関していえば、1%以下(今すぐに正確には思い出せませんが、0.25%まで)の傾きになりますけどね。

金属は、変形を続けると、塑性変形または破断して、その後外力を取り除いても元の形に戻りません。
ゴムやゲルは数百%変形しても、力を取り除いても元の形に戻ります。

ゴムに関していうと、大きく変形させたときの挙動や状態を記述する必要があります。
ゴム弾性体の理論としては、Neo-Hookean、Mooney-Rivlin、Ogdenなどなどたくさんあります。
なぜ、これだけの理論が多いかというと、やはり(それぞれの変形のさせ方で異なる)近似の仕方なのだと思います。

科学はすべて近似にすぎない

リチャード・ファインマン(朝永博士とノーベル賞物理学賞受賞)

ちなみに、Neo-Hookeanモデルは一軸伸長変形の応力ーひずみをあらわす理論です。

応力ーひずみの関係

応力ーひずみの関係は以下の式で表されます。

\sigma (\lambda) = G \left (\lambda- \frac{1}{\lambda^{2}} \right )

G:ずり弾性率、λ=1+ε(εは伸張ひずみ)

伸びが小さいとき、

\sigma (\varepsilon) = 3G \varepsilon

となります。

高分子1本鎖の弾性

高分子の両端を摘んで伸ばしていくと、両端の距離と引っ張る力との間にはどのような関係があるのでしょうか?
この回答として、自由連結鎖モデルの場合、1本の高分子は、自然長が0でバネ定数がkの線形バネとみなせます。

自由連結鎖モデル

  • n-1番目のモノマーとn番目のモノマー両端を結ぶベクトルをrnとします。
  • rnの大きさ(今回の場合、長さ)はすべて等しくbとします。
  • rnの分布は互いに独立です。
    rm·rn=0 (m≠n) or =b2 (m=n)(ここでの、<>は統計平均です。)
  • 両端間を結ぶベクトルRは、rnと次のような関係があります。
    R=∑n=1Nrn

バネといえばフックの法則です。この場合を式に当てはめて見ましょう。

f=kR, k=\frac{3k_{B}T}{Nb^{2}}

kB:ボルツマン定数
T:絶対温度
N:モノマーの数
b:モノマー間を結ぶ大きさ

ちなみに、PEをゆっくり伸ばしてピンと張った一本鎖にするまでのエネルギーの吸収(靭性、タフネス)はとてつもなく大きいです。

エントロピー弾性

ゴムの両端を引っ張ると、ゴム中の高分子鎖も引っ張られます。
鎖は周囲からの分子の衝突によって熱運動しており、「ランダム」に振る舞おうとしているます。
両端間の距離を広げていくと、高分子鎖が動くことができる空間が小さくするため、それに反発して張力が発生します。これをエントロピー弾性と言います。

自由エネルギーU(R)

U(R)=E(R)-TS(R)

E(R)は内部エネルギーで自由連結鎖モデルの場合には0です。そのため、

E(R)=0, U(R)=\frac{3k_{B}T}{Nb^{2}}R^{2}

以上より、エントロピーは

S(R)=-\frac{3k_{B}}{Nb^{2}}R^{2}

と求められます。
つまり、引っ張れば、引っ張るほどエントロピーは低下します。

エンタルピー弾性…金属など、分子間の相互作用が支配的
エントロピー弾性…高分子など、鎖の形態の変化が支配的
(特に、Tg以上でのエントロピー弾性をゴム弾性)

アフィン変形…鎖の変形が材料全体の変形と相似

 

ブログカテゴリの最新記事