高分子と結晶

高分子と結晶

高分子には結晶化可能な結晶性高分子とどのような条件でも結晶化しない非晶性高分子の2つに大別されます。
結晶性高分子と言っても、非晶と結晶との混在している状態です。この割合を表したのが結晶化度と呼ばれます。

一般的に結晶性高分子は結晶の存在により光散乱し不透明であり、非晶性ポリマーは透明な場合が多いです。

本来、結晶化する高分子であっても、溶融状態からガラス転移温度以下に急速に冷却されると結晶化することができず、非晶状態で存在することもあります。
立体規則性の高いポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリスチレン(PS)、さらにポリカーボネート(PC)は結晶性であるが、比較的容易に非晶状態の固体を得ることができます。

非晶状態とは、溶融状態、過冷却状態、ガラス状態を指します。非晶状態では結晶のような長距離秩序はないが短距離秩序は存在します。
隣接原子・分子間には規則的な構造が存在するものの、数分子を隔てると無秩序とみなせ、平均的には均一な構造として観測されます。
そのため、可視光の波長スケール(数百ナノメートル)では透明となります。

また、非晶性高分子ではガラス-ゴム転移が明瞭に観測されます。
高温の液体状態では高分子鎖全体の熱運動に起因するレプテーション運動を含め、多くの運動モードが励起されています。
この高温状態から冷却を行うと、大きなスケールの運動から順に凍結されます。さらに降温していくと、ある温度で急激に粘度が増大して流動性を失い、固体となります。これがガラス‐ゴム転移です。
かつては熱力学的二次相転移と考えられていたが、現在ではセグメント運動の凍結および解放に起因した動的な転移と理解されています。

室温で非晶かつガラス状態である高分子は、透明性が要求される工業分野において非常に需要が強いです。
代表的な高透明高分子として、PC、PMMA、PS、ポリエチレンテレフタレート、脂肪族環状ポリオレフィンなどが挙げられる。近年での非晶性高分子の主な用途は、その透明性を活かした光学フィルムや無機ガラスからの代替です。

近年、カメラ部品の高分子の利用、スマートフォンの保護フィルムなどで身近に使用していますね。

高分子の結晶化

房状ミセル結晶

  • 古典的な高分子結晶の描像
  • セルロース等の微結晶
  • 剛直な高分子の結晶
  • 延伸された高分子の一部

ラメラ(層状)結晶

  • 多くの高分子結晶のモデル構造
  • 結晶と非晶が混在 (半結晶性:semi-crystalline)
  • ラメラは周期的

ラメラとラメラの間の非晶は、タイ分子と呼ばれ最も強い分子のひとつです。

伸び切り鎖結晶

  • 100%に近い結晶化度
  • 最高の融点・弾性率
  • 特殊環境(希薄溶液・ 高圧)で形成

この末端に若干の非晶があります。ポリエチレンなどで有名ですね。

すべての物質は温度を下げると液相は固相へと変化(相転移)します。
この変化を自由エネルギーを用いて表すと、

G_{s}-G_{l}<0で固相となります。
G_{s}-G_{l}>0で液相となります。
G_{s}-G_{s}=0が融点となります。

融点以下では、何が\Delta G_{t}=G_{s}-G_{l}を減少させるのでしょうか?

\Delta G_{t}=\Delta H_{t}-T \Delta S_{t}

結晶化すると密度増加し、相互作用が強くなります。

分子鎖の運動性(エントロピー)は低下します:\Delta S_{t} <0
相互作用が強くなることで\Delta H_{t}<0 、最終的に\Delta G_{t}<0が実現します。

なぜ多くの高分子は折り畳み結晶となるのでしょうか?

液相(溶融)

  • 高分子の運動は遅い
  • 絡み合い点の存在

結晶化すると局所的な結晶化の開始し、高分子鎖のすり抜け、 絡み合いの解消には長時間必要となります。
絡み合い点、末端は結晶領域から排除します。

結晶単位格子

単位格子とは、並進操作で結晶を埋め尽くす最小の格子単位のことです。

  • 正方晶
    a=b≠c α=β=γ=90°
  • 六方晶
    a=b≠c α=β=90°, γ=120°
  • 三方晶
    a=b≠c α=β=γ≠90°
  • 斜方晶
    a≠b≠c α=β=γ=90°
  • 単斜晶
    a≠b≠c α=γ≠90
  • 三斜晶
    a≠b≠c α≠β≠γ≠90

以上に大別されます。
例えば、ポリエチレン(PE)は斜方晶
アイソタクチックポリプロピレン(iPP)は単斜晶
アイソタクチックポリブテン(iPB)は三方晶

一次結晶化

  • 結晶核の出現(一次結晶化)
  • 非常に短時間(数百ns)(実験的な検証は未だ非常に難しい)

古典論的には、結晶核の形成には、核形成時の界面が律速となります。

二次結晶化

  • 既存の結晶面を核にした、更なる結晶化(二次結晶化)
  • 表面形成による律速が少ないので、一次結晶化よりも容易に進展

 

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