ADEQUATE

INADEQUATE法(13C観測)に対し、プロトン(1H)観測として高感度化したADEQUATE法が提唱されたが、測定が難しいとされ、天然物への適用例は少ないです。

2D ADEQUATE (Adequate DoublE QUAntum Transfer Experiment)は、プロトン検出を用いて、結合した炭素対から発生するシグナルを決定するのに便利です。この実験では、炭素の0.01%しか自然には励起されないため、感度が低いのですが、プロトン検出により、2D INADEQUATEよりもはるかに感度が高くなっています。

つまり、ADEQUATE法では1H→13C→13C の二段階の磁化移動を経ています。それぞれを直結のJカップリング(1JCH1JCC)だけではなく、2-3結合を隔てたLRJCHLRJCCに最適化することができ、HMBC法では通常検出が難しい4結合以上を隔てた13C/1H相関も可能となります。一般に13C観測から1H観測にすると感度は向上し、また、繰り返し時間(RD)を短く設定できるが、その半面、不要シグナルの消去が問題になる。たとえば、HSQCやHMBCでは13Cに結合していない1Hが100倍あり、これを位相回しやグラジエントパルスにより消去しているが、消え残りがt1ノイズを生じることがあります。ADEQUATE法の場合、目的の1Hシグナルは13Cを2個含む分子であり、104倍の不要シグナルの効率的消去が必要となります。

参照論文

Reif, Bernd, et al. “ADEQUATE, a new set of experiments to determine the constitution of small molecules at natural abundance.” Journal of Magnetic Resonance, A118 (1996): 282-285.

福士江里, 高田祐輔, and 川端潤. “高感度なプロトン観測二次元 13C/13C 相関 NMR 法の構造解析への応用.” 天然有機化合物討論会講演要旨集 58. 天然有機化合物討論会実行委員会, 2016.